とんかつ奉行とバナナ嬢

祭り

 世間はGW真っ只中ですね。私もやっとのことで明日から連休です。神田川さん、お疲れ様でした。ということで、今日は“神田川倶楽部”より、昔の思い出を抜粋して大放出祭。

懐古①

 デパートのとんかつ屋での出来事。
 仕事がフレックスだったので、平日の昼にデパートに赴いたのですが、目当てだった催し物会場が異常なヒートアップぶりだったため、あきらめて空いているとんかつ屋に。
 私が食事をしていると、隣のテーブルに大層派手な一家が到着いたしました。でも、かなりの東北なまり。豪勢に着飾った田舎モノという出で立ちの集団です。
 さて、そのお店、各テーブルに3種類の“”が置いてあるんです。中身はというと、一つはとんかつソース、一つはキャベツ用の柚子ドレッシング、一つは漬物が潜んでいます。壺についてははじめに店員からの説明があるのですが、この家族は説明をシャットアウト。母親が「大丈夫です」と言わんばかりに遮りました。この時点で、何だか面白いことが起きそうな予感がします。
 さて、中山美穂に「♪派手〜だね〜」と歌ってもらわなければいけないほどの派手な母親が、家族にソースを配りはじめました。鍋奉行ならぬとんかつ奉行。バンダナを頭に巻いた父親が、ソースを入れる小皿を派手ママにパス。すると、派手ママが「お父さん、お味噌のやつとお醤油のやつ、どっち?」と発言。ほら、面白くなってきた(笑)。そんなものはどっちもありません。
 バンダナパパは「味噌」と返答。だから、残念ながら味噌なんてないんです。だいたい、とんかつ屋に来ているのに、“醤油のタレ”という派手ママの選択肢がすでに奇妙。餃子じゃないんだから。とんかつソースと味噌ダレを勘違いしてしまったというならまだわかりますが、柚子ドレッシングを醤油に移行するにはかなりの努力が必要ですよ。だって、濃い黄色ですもん。
 さらに、バンダナパパが「味噌」と言ったにもかかわらず、「でも、お醤油のもちょこっとブレンドして…」と、バンダナには内緒で勝手に混ぜ始める派手ママ。バンダナからしてみれば、味噌だと思って食べたら、とんかつソースと柚子ドレッシングの混合液なわけですから、口にした瞬間に電撃が脳を駆け回るでしょうね。さぞかしリアクションに期待したのですが、その家族がとんかつに箸をつける前に、私が店を出てきてしまったので、残念。

懐古②

 地下鉄のエレベーターに乗った時の話。
 私と一緒に、おじいさんと孫も同乗。エレベーターの床がなぜか濡れていました。すると、おじいさんが「ああ、びしょびしょだ、びしょびしょだ」と連呼。まるで昭和のいる・こいるのごとく繰り返しておりました。さらに、「掃除なさったんだねぇ。おばさんが掃除なさったんだねぇ」と孫に説明。またも昭和こいる口調。というか、床が濡れている→おばさんがそうじ、という展開についていけません。
 地上に到着し、エレベーターを出たところにも水が。「ああ、ここもびしょびしょだ、びしょびしょだ」とまだ反復。ああ、掃除のおばさん、こんなところまで濡らして困ったものですね(笑)。
 外に出ると、案の定、雨上がり。一面が濡れています。当たり前です。エレベーターが濡れている時点で、雨が降ったんだと判断できますもの。おじいさんもようやく気が付いたようで「あっ、雨が降ったのか」と仰天。おかしな情報を植え込まれた孫や、勝手に犯人扱いされた架空の掃除のおばさんに陳謝しなさい。
 最後に外の景色を見ても「ああ、おばさん、こんなところまで掃除なさったんだねぇ。びしょびしょだ、びしょびしょ」だと言ってくれれば、満点だったのですがね。

懐古③

 スーパーマーケットでの話。
 祖父がパックの寿司を買ったところ、レジで「5円です」と言われたことがありました。そんな馬鹿な…と値札を見ると確かに「5」の文字が。「ここに5円って書いてありますから」と言って聞かないレジのアルバイトに「そんなわけないだろう、聞いて来い」と説教。マジギレ(笑)。
 結局、寿司は普通の値段だったそうですが、「あまりに腹が立ったので、5円払って帰ってきてやろうかとも思った」と息巻いておりました。5円で済むなら、それはそれでよかったのに。奮闘しただけ、赤字ですね。

懐古④

 会社での話。
以前、社長夫人が「娘が作ったの」と、バナナマフィンを持ってきたことがありました。この娘、私と同い年なのですが、料理がてんで出来ないんですよね。だから、たまに母親に持たせては、会社で毒味(笑)。
 マフィンにしては膨らみがありません。試食。味はバナナ。でもマフィンじゃないんです。なんだかもっちりしています。バナナが多すぎたのか、粉の配合が狂ったのか、美味しいとはお世辞にも言えないシロモノの仕上がりに。私はひらめいて「バナナの鬼まんじゅう」と命名いたしました。これならばバッチリです。毒見させられた他の社員も、一同に賛成。
 そして、数日後、彼女は懲りなかったらしく、リベンジ作品の試食。今度はパウンドケーキのような出で立ちです。中身はまたしてもバナナ。そんなにバナナが好きなら、そのまま食べた方が間違いなく美味しいと思うのですが(笑)。さて、毒味。前回ほどもっちりとはしていませんが、ふっくらともせず。さらに、なぜか入っているはずのないちりめんじゃこの味が。周りに同意を求めると、皆が賛同。とりあえず、「ちりめんバナナ」に決定いたしました。もう、毒見というより、ネーミング会議のようになってますね(笑)。