仏の外科医②
ブッダ金山
今日は仕事が恒例の昼あがりなので、ひさびさに金山の仏*1に行ってきました。噂の金箔入りゴールドマウンテン(=金山)セットに期待していたのですが、ランチではお目にかかれない様子で残念。おとなしく、ねぎ焼きと和風ハンバーグのセットで済ませました。もちろんライスはミニカレーのライス大盛りで。通常のライスを、+90円でお得なミニカレーに変更できるのですが、レギュラーカレーにすると確か+290円くらい。ただ、ライスの大盛りは無料なので、ミニカレーにしておいてライスだけ大盛りにするってのが常連の裏技。*2
味はやはり無難に美味しかったです。あそこはいつも空いてるし、涼しいし、出てくるの早いし。仏の中では味のレベル的には高くない店舗*3ですが、それでもそこらのおかしな店よりはぜんぜん美味しいですよね。慣れてるので安心ですし。金山店はおつまみメニューやゴールドマウンテンなど独自の路線を開拓していますが、今度はテイクアウトのお弁当をはじめたようです。他ごとは別にいいから、メニューをちゃんと増やせと言いたい(笑)。どうして金山だけランチメニューがあんなに少ないんでしょう…。ほかは昼もレギュラーメニュー全部あるのに。
それにしても、仏も今年は4度目。去年は月1、多いときは月2のペースで行っていたのに、今年は少ないこと。ま、それでも4回も行ってるのですが(笑)。
いつのまにか還って来てた男。
さて、難波。あのぐらいのペースで載せるのがいいんでしょうかね?あまり長くてもすぐネタが尽きるし、ブツブツに切るとわかんなくなりますし。皆さんのご意見お待ちしております。
ちなみに、読者がほとんどいないくせに、今回の連載で、また膨らまして書き足してます(笑)。
では、昨日の続きを。
外科医・難波 1-②
深夜零時。難波は静まり返った病院のロビーにいた。もう春だというのにひんやりとした空気が難波の足元に漂う。
勤務初日から夜勤まで受け持つ馬鹿な医者はそう滅多にはいない。だが、難波はその一握りの馬鹿のうちの一人だった。まだ新しい環境に慣れていないというのに、脇谷に腕をほめられたせいか張り切って自ら夜勤を志願した難波だった。が、彼の心には今になって後悔の風が吹いていた。さすがに朝から続けては体がもたない。
難波は長椅子に腰を下ろし、ポケットから取り出した煙草に火をつけた。煙草を深く吸えば、少しは頭からも体からも疲れがとれる。彼はそういう人間だった。
「ふう・・・・」
難波は吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出した。その時、廊下の向こうから勢いのある足音が難波に近づいてきた。彼の知らないところで、明らかに何かが起きていた。
脇谷は真っ暗な自宅の書斎で考え事をしていた。デスクライトの灯りのおかげで暗闇に淡く浮かび上がる脇谷の手には、ある書類が握られていた。それは難波に関する資料だった。
時が止まったようにその資料を見つめる脇谷。
「まさかな・・・・」
自分に言い聞かせるように独りごち、脇谷は資料を机の引き出しに仕舞い込んで鍵をかけた。デスクライトの灯りが消え、闇に落ちた部屋の中で、脇谷はしばらくその場を離れようとはしなかった。
「難波先生!」
遠くに看護婦の姿が見えた。何事かと、難波も駆け寄る。
「難波先生、ちょっと来ていただけますか」
その看護婦は荒い息とともにそう言葉を吐き出した。難波は彼女の顔に見覚えがあった。確か、昼間、紹介された外科の看護婦の中にいたはずだ。難波は彼女のネームプレートを見た。そこには「山岡」の文字が。
「ええと、山岡ナース・・・でしたよね」
「あ、はい、華の独身*4、山岡雅子です!」
難波は心で呟いた。華というより、鼻*5だろう、と。知り合ったばかりの難波がそう思うほど、彼女の鼻は大きかった。もしかしたら、彼女自身も「鼻の独身」と言ったつもりなのかもしれない。だが、難波は後先のことを考えて何も言わなかった。
「とにかく、急いで来て下さい」
「何があったんですか」
山岡は事情を説明した。
「ここです」
山岡は602と書かれた病室のドアを開け、入っていった。難波も後に続く。
「久田さん、大丈夫ですか! 久田さん」
難波がいくら呼びかけても、その患者は苦しがっているだけで、言葉を返そうとはしなかった。
「このクランケは確か心臓が」
「ええ、明日、オペの予定だったんですが・・・・」
「このままじゃ、それまでもちそうにないな。今すぐオペの準備を」
「わ、わかりました。ヒントっ*6」
「ヒント? 何ですか?」
「気にしないで下さい、口癖なんで。ヒントっ」
この病院には変わった人たちが多いようだ。そう難波は実感した。
「脇谷先生は」
「随分前に、帰られました。すぐに連絡してみますけど」
「お願いします。あと、オペ室の手配。それから、ご家族にもすぐ連絡して」
「え? 連絡って、何のですか?」
「何のって、緊急オペなんだから当然でしょう。すぐ来てもらうように」
「はあ・・・・わかりました。ヒントおわりっ!*7」
(つづく)