言葉の魔術師

 我が社に、ヤマモトというおじいさんの職人がいるんですけどね、おかしな言葉を多用するんです。私は勝手に「ヤマモト語」と呼んでいるのですが。
 方言なのか、オリジナルなのかはよくわからないのですが、奇妙な単語を常用するんです。
ちょっと例をあげましょうか。ただ、意味合いに関しては、私の推測も含まれていますのでご了承。


「かざ」
名詞。「におい」の意。“嗅ぐ”が変形したものなのかは不明。また、実際は「かざ」と言っているのか「かぜ」と言っているのか聞き取れないことも事実。
用例:「何だか、いいかざがするなぁ」


「ぐろ」
名詞。「ふち」「隅」「端」などの意。
用例:「そっちのぐろから使ってくれ」


「こくる」
動詞。「縛る」「結ぶ」の意。“括る”の変形か。決して「告る」ではない。
用例:「詰めすぎて、ちっともこくれんがや」


「盛りてんこ」
名詞。「てんこ盛り」の意。なぜ倒置法が用いられているのかは謎。
用例:「たくさんあったから、盛りてんこにしといたぞ」


ほら、このうち、どれか聞いたことある方、います?(笑)