火事場の本みりん

本みりん

本みりんの隠れた実力

 先日ちらっと触れた、みりんに関する面白い話*1を今日は紹介しましょうか(遅いよ)
 あれは、中学の時の家庭科の調理実習の最中に起きた事件。本当にあった怖い話です。いや、私は怖くなかったですけどね。


 何の料理をつくっていたのかまでは忘れてしまいましたが、真面目に実習に取り組んでいると、隣の班のツツミくんが私に近づいてきました。
「ねえねえ」
 どうしたんでしょう。
「何?」
 私が顔を上げると、ツツミくんはやけに神妙な面持ち。愉快な相談ではないようです。
「誰にも言ってないんだけどさぁ…」
 そう言いながら、彼は手で覆って隠していた自分のエプロンを私に見せてくれました。それを見た神田川さん仰天。彼が身につけているエプロンは、他の人のそれとは明らかに異なっていました。
 なんと、ちょうどお腹のあたりの部分にポッカリと穴が空いているじゃありませんか。小さな穴じゃありませんよ。直径およそ20センチってとこでしょうか。尋常じゃありません。そんな大きな穴が空いてちゃ、エプロンの意味ないですもん。
どうしたの!?
 ツツミくんは、興奮した口調で今しがた自分に降りかかった災いを語り始めました。


 それは数分前の出来事。彼は調理に使用するみりんを、実習室の前にある調味料置き場に取りに行こうとしていました。
 歩いていると、ふと自分のお腹のあたりが暖かいことに気がついたツツミくん。今日は陽気がいいので、窓から差し込む陽射しをちょうど浴びているんだな。あったかいなぁ。そう呑気に構えていた彼でしたが、それにしてもあったかい、というか熱いので、自分のお腹を見下ろしてみると、さあ大変。エプロンが轟々と燃えているではありませんか(笑)。
 火事だ!!
 あまりの突然のことに、一瞬何が起きているのかわからなかったツツミくんでしたが、明らかに自分の腹部で火災が発生しているので(笑)、すぐに正気を取り戻し、パタパタと火を消しました。
 おそらく、ガスコンロからエプロンに火が移り、それに気付かずに過ごしていたんでしょうね(笑)。
 無事に鎮火できたので、被害はエプロンが丸く焦げて穴が空く程度ですみましたが、一歩間違えれば大惨事になっていたわけです。そして、そのことに生徒も教師も誰も気付かず、事実を知っているのは、ツツミくんと私だけ(笑)。
 鎮火の直後、ツツミくんは今にも爆発しそうな胸を抑え、平然を装ってみりんへと再び歩き出したそうです。


 って、書いてはみましたけど、別にみりんは関係ない話でしたね(笑)。私の記憶の中では、みりんと火事がもっと結びついていたのですが、まとめてみたら無関係でした。古い記憶なんてそんなもんです。